広告というと、印象的な映像や写真、タグラインをイメージする人が多いのではないでしょうか。ただし、これらは広告のほんの一部分にすぎません。実際の広告計画では、まず、需要の推移や競合企業の状況、消費者の特性をはじめとする市場分析を行い、どのような問題と機会があるかを考察します。その上で、広告などのコミュニケーションで解決可能な課題を設定し、ターゲットとブランドのもつ価値を明確にし、表現や媒体の戦略を練り上げて作られるものなのです。この一連の流れを「広告プランニング」といいます。広告というコミュニケーションを通して、企業や社会の課題を解決していく方法を学ぶ学問なのです。
1学期は「事例分析」が中心です。例えば、"新製品の広告"とロングセラーの"成熟ブランドの広告"とでは、その課題と戦略は大きく異なります。テレビや菓子などの身近な商品を例に、どのような目的・手法で広告が計画されているかを分析します。6月以降は、4~5人のグループでの「広告プランニング実習」です。昨年度も「髙島屋のコミュニケーション計画」「リカちゃんの広告計画」など、学生が発案したユニークなテーマで市場分析から表現の提案まで行いました。前者は百貨店という業態を若者に魅力あるものにし、他社との差別化を図ることを課題とし、後者は大人になっても子ども時代の憧れであったブランドとの関係を維持することを課題としました。
広告プランニングは、マーケティングの知識だけで成り立つものではありません。多様な消費者とのコミュニケーションを形成するためには、文学や歴史、哲学、心理学、社会学などの一般教養から、映画やドラマ、ファッションに至るまで、ありとあらゆる知識や経験が役に立つわけです。とても刺激的で面白く、奥深い学問だと思いますよ。
広告プランニングとは、問題意識をもって状況を分析し、解決策を提示するものです。このように論理的にものを考えて結論を導く「問題解決能力」は、広告業界はもちろん、どのような分野に進んでも必ず生かされることでしょう。
「経営学科」「流通マーケティング学科」の2学科があります。「経営学科」は、さらに現代経営・経営情報・現代会計の3コースに分かれ、それぞれの専門性を高めます。現代会計コースには、高度の資格取得を目指す「会計プロフェッショナル・プログラム」の科目もあります。「流通マーケティング学科」には、流通論とマーケティング論の他に、消費者行動論やソーシャル・マーケティング論、サービス・マーケティング論をはじめ、幅広い専門科目がそろっています。
また、両学科ともにゼミに大変力を入れており、フィールドワークやディベート、企業や自治体とのコラボレーションなど、主体的に学ぶ体制が整っています。公認会計士試験合格者を一度に5名出したゼミ(武脇誠ゼミ)もあれば、日銀グランプリ最優秀賞を獲得したり(安田行宏ゼミ)企業と製品開発をしたりと、目覚ましい成果をあげているゼミが多数あります。
2014年度の受賞・学外活動として、大学観光まちづくりコンテスト【東日本ステージ】富士河口湖町長賞・パフォーマンス賞(北村真琴ゼミ)、関西大学ビジネスプラン・コンペティション(KUBIC)本選優秀賞(森岡耕作ゼミ)、全国生命保険学ゼミナール全国大会Most Impressive Presentationに2チーム入賞(柳瀬典由ゼミ)、多摩のまちづくりコンペティション参加(山本聡ゼミ)、ドラッグストアにおける機能性飲料の販売促進策提案(本藤貴康ゼミ)、洋菓子メーカーと共同でお菓子の新製品開発(小木紀親ゼミ)などがあります。
ぜひ一度、キャンパスに来てみませんか。オープンキャンパスでの模擬講義や12月の経営学部合同ゼミ研究報告会に参加すれば、大学生活をより具体的にイメージできるでしょう。そして、東経大の4年間で、自分なりのものの見方と表現ができる「真の教養」を身につけた人へと成長してくれることを願っています。
※掲載されている教員・学生の所属学部・職位・学年及び研究テーマ等は、取材当時のものです。