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2017年度 第25回 経済学部 周 牧之 教授

シンポジウムの企画、運営、発表で成長します。経済学部 周 牧之 教授 シンポジウムの企画、運営、発表で成長します。経済学部 周 牧之 教授

ZHOU Muzhi
東京経済大学 経済学部教授
湖南大学(中国)電気工程学部卒。東京経済大学大学院経済学研究科博士課程修了、経済学博士号取得。(財)日本開発構想研究所研究員、(財)国際開発センター主任研究員、財務省財務総合政策研究所客員研究員、ハーバード大学客員研究員、マサチューセッツ工科大学(MIT)客員教授、中国科学院特任教授を歴任。対外経済貿易大学(中国)客員教授、一般財団法人日本環境衛生センター客員研究員を兼任。主な研究分野は、中国経済論、都市経済論、情報経済論、産業経済論。

環境問題や地域創生がテーマだそうですね。

 地球温暖化や原発事故のニュースを見ても分かる通り、環境やエネルギー問題は、世界経済の成長・安定を左右する最重要課題の一つです。また安全で豊かな国であり続けるために、地域社会の活力を取り戻すこと、地域の自然を次世代へと守り繋いでいくことも欠かせません。そこで周ゼミでは「グローバリゼーション」「地域」をキーワードに、再生可能エネルギーや地域創生などについて学んできました。
 周ゼミが大切にしているのは、「リアリティのある学び」です。毎年参加するシンポジウムやイベントは、気心の知れた学生同士の発表の場ではなく、有識者や第一線で活躍する社会人が相手です。プレッシャーも大きいでしょうが、明確な目的意識がある分、ゼミ生は非常に真剣に取り組んでいます。文献の精読・議論のほか、ゲスト講師の講演を聴講する機会も多く、みな熱心に学びを深めています。

国際シンポジウムの企画・運営も担当したそうですね。

 2015年12月に、環境省と中華人民共和国駐日本国大使館の協力を得て、「環境とエネルギーの未来 国際シンポジウム」(主催:東京経済大学)を開催しました。日本と中国の有識者や行政の担当官を招いた大々的なイベントでした。シンポジウムの企画立ち上げ、問題提起、当日の運営に至るまで、ゼミ学生が主体となって取り組んでくれました。シンポジウム当日は多くの聴衆を前に、壇上で「再生可能エネルギーへの転換を図るには」「水素を使った新エネルギーによる『水素社会』の実現のためには」などの問題提起を行い、白熱した意見交換がなされました。

いま取り組んでいる「ローカルサミット」とは?

 環境省などの協力のもと、自然と共生しつつ地域活性化の輪を広げることを目指して、全国各地で毎年行われている地域会議のことです。
 2016年度は周ゼミが倉敷(岡山)でのローカルサミットに参加し、「子育て」「祭り」「経済」など、多種多様な分科会でゼミ生が発表しました。地域の抱える課題を整理・分析し、国内外の先進事例やデータとともに明確に提示したことは、「新しい視点をもらえた」「議論が深まった」と大変喜ばれました。今年は東近江(滋賀)でのサミットに参加する予定。今年もゼミ生の活躍に期待しています。

大学で学ぶ際の心構えを教えてください。

 日本の大学では易しい授業・ゼミが好まれることが多いようですが、"易しい"ことが学生にとって本当に"優しい"かどうかは疑問です。高い目標に向かって、楽しく学べるよう真剣に鍛えていくことが、本当の優しさといえるのではないでしょうか。
 周ゼミの学生も最初から高い志を持って入ってきたわけではないでしょうが(笑)、ここで本気で学んだ結果、1年前や2年前とは別人のように、みな立派に成長してくれています。特に、幹事(グループの代表)を務めた学生は、就職活動で苦労した姿を見たことがありません。質問力や企画力、プレゼンテーション力、社会人と接する際のコミュニケーション力などが、ゼミ活動を通して自然に身につくのだと思います。皆さんも真剣に学べる大学、環境を選んでほしいと思います。

Students'VOICE周ゼミの学生の声

干川雄大さん(4年)
まさか学生の自分がシンポジウムの企画・運営や発表をすることになるとは思いもしませんでしたが、多くの方々に助けられて得難い経験ができました。考え方やモチベーションが違うゼミ生をまとめていく幹事の仕事には随分苦労しましたが、おかげで成長できました。
菊池夏樹さん(4年)
ゼミのイベントで向き合う相手は、自分より知識も経験もはるかに多い社会人です。簡潔に論理的に説明をする絶好の訓練になりました。大学では、部活やゼミなど何らかの組織に所属することをお勧めします。組織の中で自分がどんな役割を果たすべきかを学ぶ良い機会になると思います。
高山新平さん(3年)
倉敷でのローカルサミットでは、高梁川流域の活性化のため、鎮守の森を祭りの"舞台装置"として使う提案をしました。発表は好評でしたが、地元の方とのディスカッションで「高齢化で祭りの伝承すら難しい」という現実を知りました。次回は現地調査も実施し、より質の高い発表をしたいです。
船橋孝介さん(3年)
僕は口下手で、人前で話すことが苦手でした。でもゼミで何度も発表するうち、いつの間にか慣れてきた気がします。スライド資料を作る際は、自分たちに予備知識がある内容であっても「初見の人に分かりやすいか」を常に意識してまとめるようにしました。
横森 翼さん(3年)
最初はパワーポイントの操作にも慣れていなかったので、社会人の前で発表できるレベルにまで仕上げるのが大変でした。倉敷でのローカルサミットでは、現地の経済・金融の状況について調べ、地域に根ざした観光業にシフトしていくことを提案しました。
長谷川敬大さん(2年)
ローカルサミットでは「子育て・共育ち」がテーマの分科会に参加しました。病院や保育所などの施設が一極集中していることに注目し、施設の分散と交通の利便性を高めることを提案しました。自分には縁遠い子育てという分野ですが、これを機にニュースなどでも興味を持つようになりました。

※掲載されている教員・学生の所属学部・職位・学年及び研究テーマ等は、取材当時のものです。