東京経済大学

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2018年度 第43回
経営学部 米山 高生 教授

経営史を学ぶと、経営者のシミュレーションができます。経営学部 米山 高生 教授 経営史を学ぶと、経営者のシミュレーションができます。経営学部 米山 高生 教授

YONEYAMA Takau
東京経済大学 経営学部教授
信州大学人文学部経済学科卒業。横浜国立大学大学院経済学研究科 修士課程修了。一橋大学大学院経済学研究科 博士後期課程単位取得満期退学。一橋大学大学院商学研究科教授などを経て、2017年から現職。著書に『リスクと保険の基礎理論』『物語で読み解くリスクと保険入門』ほか。生活経済学会会長、日本保険・年金リスク学会会長、経営史学会監事、総務省情報通信審議会委員、金融庁金融行政モニター委員も務める。

経営史を学ぶことは、経営者の"シミュレーション"だとか?

 石油王ロックフェラーが、どんな時代背景・シチュエーションのもとで、どのような意思決定をしたのか──。例えばこんなことを知ることができたなら、まるでトップマネジメントの立場を追体験するような面白さがあると思いませんか? このように、企業家が「どのように企業を発展させてきたか」に注目し、その歴史について研究するのが「経営史」です。
 19世紀後半からアメリカでは、鉄鋼業や石油、自動車などの様々な業界で、川上から川下までを統合した大企業が設立されるようになりました。すると、経済事象を分析するうえで、個々の企業家の役割というものが非常に重要になってきました。そこで20世紀に入ってから、新たにこの「経営史」という学問が生まれたのです。

ゼミでは、金融・保険の経営史について取り上げています。

 金融機関の産業・企業発展には、固有の歴史的傾向があるのではないかと考えていますが、このような観点の経営史研究はほぼ未開拓です。ゼミでは、銀行・証券・保険などの産業の構造を明らかにしたうえで個別企業の企業行動を分析する、それも一時点ではなく長いスパンで分析するということに取り組んでいます。
 東経大の図書館には、金融機関の社史、有価証券報告書や戦前の営業報告書などのデータベースも充実していますから、じっくり調べてもらいたいですね。また昨年度は、東京証券取引所や信金中央金庫、明治安田生命を訪問しました。こうして実際の現場で雰囲気を感じたり、当事者に話を聞いたりすることも大切にしてほしいと思います。

ゼミでは、文献を2回繰り返して読み込むそうですね。

 基礎的な知識をきちんと身につけるために、1章30ページほどのボリュームに2週間を費やしています。例えば先日取り組んだのは、18〜19世紀の英国金融について。1週目にサラッと読んだだけでも分かった気になってしまうものですが、では「金本位制の機能を理論的に説明できるか」と問うと、多くの学生が怪しかった(笑)。そこで翌週は、為替相場の安定、国際収支の調整という金本位制の機能について学びました。こういった理屈をきちっと押さえておくことが、後のニクソン・ショック以降の流れの理解にもつながります。多少苦労をしても、深く考えて学ぶ経験をゼミでは積んでほしいですね。

金融の仕組みを理解するのは、難しそうです......。

 1997年のアジア通貨危機は、ヘッジファンドのある思惑によって一国が破綻寸前にまで追い込まれました。2008年のリーマン・ブラザーズの経営破綻によるリーマン・ショックを鮮明に覚えている人も多いでしょう。金融活動は経済を活性化させる一方で、このような不安定さも持ち合わせる、いわば"諸刃の剣"なのです。この金融をうまくコントロールすることは現代社会において大きな課題であり、その知識を備えていることは、社会人として非常に重要なことではないでしょうか。
 たしかに、金融の仕組みやビジネスモデルは事業会社のそれよりも抽象的で難しいものですが、それを知っておくことで、ビジネス全体の構造や動きをより深く理解することができるはずです。

米山先生ご自身は、どんな学生生活を送りましたか。

 私は第一志望の大学に合格できなかったこともあり、入学当初はやや屈折した気持ちがあったかもしれません(笑)。でも大学のゼミで偶然、法人や株式会社に関する研究テーマに出会い、その面白さを知りました。その後、「近代イギリスの株式会社法」「保険史」と研究対象は変遷していきましたが、学部生時代に火をつけられた好奇心は、何十年経ったいまもずっと糧になっている気がします。大学のオーケストラで夢中になってフルートを吹いていた経験も、いま取り組んでいる「音楽の経営史」につながっているのかもしれません。
 皆さんにも、ここで研究の面白さや醍醐味を知ってもらえたら嬉しいですし、どんな分野に進むのであれ、きっちり結果を残し自分のアウトプットに責任を持てる人間でいてほしいと願っています。

Students'VOICE米山ゼミで学ぶ学生の声

平山初寛さん(経済学部4年)
米山ゼミは昨年度発足したばかりのゼミですが、一から皆で作っていこうという熱い雰囲気があります。先日、「高齢社会の日本が経済発展するには」というテーマでディスカッションをした際は、先生も含めて白熱した議論が繰り広げられました。
川俣由佳さん(経営学部3年)
昨年は、信用金庫の意義や役割について調べまとめました。図書館で文献やデータにあたるだけでなく、実際に信金中金を訪れて話を聞くことができたのは有意義でした。また、ゼミの冒頭でその週に気になった金融に関する新聞記事を発表していたこともあります。全く知らないニュースも多く新鮮でした。
中林寛登さん(経営学部2年)
銀行をはじめとする金融機関への就職を希望しているため、金融の機能や歴史について研究することのできる米山ゼミを選びました。ゼミに入る前は金融の専門的な知識はほとんどありませんでしたが、優しい先生や先輩たちのおかげで楽しく学んでいます。

※掲載されている教員・学生の所属学部・職位・学年及び研究テーマ等は、取材当時のものです。

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