東京経済大学

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2019年度 第49回
経営学部 金 鉉玉 教授

財務分析は、会社の健康診断。数値の上下にドキドキします。経営学部 金 鉉玉 教授 財務分析は、会社の健康診断。数値の上下にドキドキします。経営学部 金 鉉玉 教授

KIM Hyon-ok
東京経済大学 経営学部教授
韓国仁川大学校東北亜国際通商学部 日本通商学科卒業。一橋大学大学院商学研究科 修士課程修了、博士後期課程修了。主な研究分野は、会計学、ディスクロージャー。主な担当科目は、会計学原理、簿記原理。

会計って、どうしても苦手意識があるのですが......。

 会社の数字、すなわち財務情報とは、企業の状態を表す"健康診断書"のようなものです。安全性や投資効率といった財政状態や収益力といった経営成績が「貸借対照表」と「損益計算書」からわかることができ、これらの財務情報が投資や融資、取引などの判断材料になります。市場経済における経済活動を円滑にするために、またその健全性・効率性を保つために、財務情報は必要不可欠なのです。
 「数字は苦手」と敬遠する気持ちも分かりますが、でも考えてみてください。財務諸表に表される数字のすべては、企業や人の行動の結果であり、業界や社会の情勢を反映した結果です。業績が落ちた理由は何か。お金の流れに不自然な点はないか。この企業が成長する可能性は──。数字の背景を読み取ることこそ会計の意義、面白さであり、その能力は今後皆さんが社会で生きぬく強力な武器になるはずです。

全上場企業の20年分のデータを分析したチームもあるとか。

 ゼミでの研究テーマは、財務情報に関することなら何でもOKです。あるチームは、20年間の累計利益を算出し上場企業の10%以上が累積赤字であったことを突き止め、また別のチームでは、有価証券報告書の重複箇所を洗い出して項目の無駄を指摘しました。ほかにも、会計基準が存在しなかった戦前の会計処理に注目し、現代の財務情報との比較に挑戦したチームもありました。大学図書館にこもって戦前の資料を手作業で集計する日々、図書館のスタッフとはすっかり顔なじみになったそうです(笑)。
 もちろん、最初から財務情報を読み解ける学生はほとんどいません。貸借対照表や損益計算書の読み方に始まり、ごく基本的な分析から始めて徐々に力をつけていきます。グループワークなので先輩がうまく後輩をリードしながら進めてくれることも多いですね。

外部の懸賞論文などに、積極的に参加していますね。

 学生の意欲や能力を最大限に引き出すべく、学外で研究成果を発表する機会も設けるようにしています。社会人や研究者も応募する「プロネクサス懸賞論文」では、国際会計基準(IFRS)の適用により財務諸表の項目や内容がどう変わるかを分析し、優秀賞(2017年度)を獲得したこともあります。他に、投資テーマに基づくポートフォリオを作成しそのロジックを競う「日経STOCKリーグ」や、会計学を学ぶ学生が研究内容をプレゼンテーションする「アカウンティングコンペティション」などにも挑戦しています。
 いずれも簡単に成果が出るものではありませんし、外部コンテストというのは指導する側も楽ではないです(笑)。でも「受賞は逃したけどこの半年間すごく充実していた」「頑張ってよかった」などという声を聞くと、指導者冥利に尽きますね。

学生には「モヤモヤしてほしい」のだとか......?

 すぐに答えを求めたり途中で投げ出してしまったりする学生が、一定数いることが気にかかります。研究活動においてもビジネス活動においても、即座に正解が分かるということはほぼありません。どうしたらいいのか分からずモヤモヤして、あきらめずに考え抜いて、ようやく答えに辿りついたとき、そこに大きな充実感や達成感があるのだと思います。モヤモヤしている過程すら楽しみながら、果敢に課題に挑む人であってほしいと願っています。
 それから、社会人に比べてはるかに時間のある大学生のうちに、もっと貪欲に勉強してほしい。卒業後に訪ねてきてくれるOB・OGは必ず言いますよ、「もっと勉強しておけばよかった」ってね(笑)。経営学や会計学といった専門科目も大切ですが、哲学や文学、歴史といった教養にもたっぷり触れてください。すぐに役立つことはないかもしれませんが、今後の皆さんの人生を必ずや豊かに彩ってくれるはずです。

Students'VOICE金ゼミで学ぶ学生の声

柏本優介さん(経営学部3年)
高校卒業後はもともと、税理士の専門学校に通うつもりでした。でも資格の勉強以外にも学ぶべきことがあるはずと考え、大学進学を決断したんです。金先生のゼミに入って、財務分析のスキルが格段に上がったのはもちろん、プレゼンスキルも鍛えられました。税理士として働く際も必ずプラスになると確信しています。今年度の研究テーマは「ベン・フォードの法則を用いた損益計算書分析」。数学理論と会計を結びつける考え方は、大変勉強になりました。
井上 駿さん(経営学部2年)
「アカウンティングコンペティション」に向けたグループ研究では、日々膨大なデータ分析に追われ、頭が狂うかと思いました(笑)。でも、一つの目標に向かって仲間と必死で頑張った経験が、勉強に対するモチベーションを高めてくれた気がします。公認会計士や税理士などのプロフェッショナルを目指す人にも、純粋に会計を学びたい人にも役立つのがこのゼミの魅力。金先生のキャラクター通り、明るくアットホームな雰囲気も気に入っています。

※掲載されている教員・学生の所属学部・職位・学年及び研究テーマ等は、取材当時のものです。

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