2018年10月25日(木)、東京経済大学5号館E202教室で、松永智子コミュニケーション学部准教授がジャーナリズム論の授業に作家の田村真菜氏を招き、講演と学生を交えたパネルディスカッションを実施しました。
田村氏は2017年に私小説「家出ファミリー」(晶文社)を執筆し、著書では自身の体験をもとにした家族にまつわるエピソードが赤裸々に綴られています。講演では、籍を入れずに子どもを産み育てるという自身の体験や、その苦労、そこからどのようなことを感じて生きてきたかなどが語られ、学生たちは熱心に耳を傾けていました。
講演後のパネルディスカッションでは田村氏、松永准教授に加えて学生も登壇し、田村氏への質問や意見、率直な感想などが繰り広げられました。登壇した堀チュク千郁佳さん(コミュニケーション3年)が「日本社会は男女の婚姻制度を重視する傾向があるが、田村さんのように籍を入れずに子どもを育てていくことで直面するデメリットはありますか。また、あえて籍を入れないことを選択した理由は何ですか」と尋ねると、田村氏は「遺産の問題など、デメリットはたくさんある。しかし、名前は自分を形成するアイデンティティの1つであるべきものなのに、婚姻制度によってそのアイデンティティを失うことのほうが疑問だった」と答え、「自分にとって何が大切なのかをはっきりさせると自分に自信が持てるようになる」と続けました。
パネルディスカッションの後には登壇していない履修生たちからも質問が挙がり、学生たちは田村氏の力強い言葉を真剣に聞いていました。
授業を担当する松永准教授は「本講義では、多様な見解に触れて自分の意見を形成すること、各メディアの特徴を掴み異なる立場の人と議論することを重視しています。紙媒体からテレビ、SNSと様々なメディアを使い分けて発信されている田村さんを囲み、『家族』のあり方から『生と死』に至るまで、受講生が積極的に議論に参加できたことは、今までにない手応えを感じました。ビッシリと書き込まれた授業後のコメントカードからは、受講生がいかに田村さんの言葉に励まされたか、登壇者をはじめとした学生からいかに刺激を受けたかが伝わってきます。これからも、学生を巻き込むスタイルの授業を試みていきたいです」と今回の授業を振り返りました。