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社会保障・福祉系 合同ゼミディベート大会(第14回)〜「ゼミする東経大」の恒例イベントで力を磨く~

いま社会が就活学生に求めている「力」として、「コミュニケーション力」「プレゼンテーション(プレゼン)力」「チームワーク力」「問題解決能力」が常に上位に来ることは周知の通りです。なぜなのでしょうか。

ひとつの答えは、社会人の仕事はけっして一人でやるわけではないからです。部や課、プロジェクトチームなど形はさまざまですが、集団で会社のめざすミッションなどにチャレンジし、知恵や能力を結集して1+1=5になるような大きな力を発揮することで結果を出すというスタイルが一般的なのです。まさに「ワンチーム(One Team)」の精神が求められます。

その力を養うために、ディベートという知的スポーツの実践はきわめて効果的と言えるでしょう。まずはチームで方針を討議して決定し、そして個々人が主体的・能動的に情報収集をして問題を「発見」する学習を重ねる。その上で仲間と意見交換を重ねるなかで、チームとしての独自の主張や提案を練り上げるのです。

このような力を育成するために、14年前から東京経済大学の有志の3~4ゼミで学部間の垣根を越えたディベート大会を行っています。東京経済大学では、学部によって研究手法の違いはありますが、経済学部、現代法学部のどちらに入学しても社会保障・福祉系のテーマを掲げるゼミで学ぶことができます。ただ、同じ領域の学問を勉強していても、学部の垣根を越えた人々と議論・討論をすることはなかなかありません。そこで、自分たちの身につけた力を試す場として、合同のディベート大会という試みが生まれました。学生らは共通のテーマをめぐってそれぞれの手法やバックグラウンドを活かした「知的勝負」を行うことができるのです。

今回は前任者(現代法学部)の退職もあって、初めて2ゼミでの「ガチンコ対戦」となり、49名の学生が集い、5つのテーマで争いました。とくに2019年は、いわゆる中高年の「引きこもり」や児童の虐待事件が大きな社会問題としてクローズアップされたこともあり、時宜にかなった多彩なテーマで対戦が行われました。

<ディベート大会参加ゼミ>
 経済学部 尾崎寛直ゼミ 李蓮花ゼミ

【第1対戦】「『新型出生前診断』の大幅拡大は是か非か」
【第2対戦】「『最低賃金・時給1,500円』実現は日本経済にとって是か非か」
※上記2戦は従来型ディベート(肯定・否定の立場に分かれて議論を闘わせる従来方式のディベート)で実施

【第3対戦】「中高年の引きこもり者の社会復帰のためにはどうしたらよいか」
【第4対戦】「児童虐待防止を実現するための効果的な公的介入はどうしたらよいか」
【第5対戦】「高齢期の生活の安定を実現するためにはどうしたらよいか」
※上記3戦は政策提案型ディベート(2~3チームが同時に一つのテーマをめぐって提案を競い合うコンペ方式)で実施

大会に向けて、学生たちは通常のゼミの時間だけでなく、各自の空いた時間を調整して「サブゼミ」を自主的に繰り返し、十分に準備をして練ってきたと感じられる主張や提案が次々と披露されました。勝ち負けは措いても、各チームの意見・提案を本番で披露するまで間の仲間との試行錯誤や資料収集、討議の準備で苦労したチームほど、大きな達成感が得られたはずです。これがまさにディベート大会の醍醐味だと言えるでしょう。

(文責:尾崎寛直経済学部准教授)

  • 学生らは大勢の前で緊張しながらも、真剣な知的バトルを繰り広げました

  • 相手チームの質問に効果的に返答できるかの「知的瞬発力」が問われます

  • 相手の立論を崩すための「作戦タイム」。短い時間で知恵を出し合います