小田登志子全学共通教育センター准教授が担当する「言語学a」の授業では、2021年4月28日(木)から6月16日(水)の期間中、全8回に渡り、国分寺市周辺に暮らす外国人をゲスト講師に招き、多様性を共有する取り組みが行われました。
学生記者が、この授業のポイントを小田先生に聞きました。
【小田登志子准教授へインタビュー】
Q1.なぜ言語学の授業でゲスト講師を招聘しようと思ったのですか?
A.言語学の授業では、アメリカの哲学者・言語学者であるノーム・チョムスキーによる仮説として、世界には7,000以上の言語があるが、全ての言語は同じ土台の上に成り立っていると伝えています。そのような授業で、多様な外国の方を招いて目の前で話してもらうことで、言語の多様性を実感してもらおうと思ったことがきっかけです。
Q2.外国人の方を招いた授業を行って、学生はカルチャーショックを受けていましたか?
A.学生よりもむしろ、外国人ゲスト講師の方にカルチャーショックがあったかもしれません。ゲスト講師の出身国では、講師が話していたら、頷いたり笑ったりと、リアクションをとりながら話を聞くことが一般的です。しかし本学の学生は面白い話でも反応がないことが多いので、外国人のゲスト講師が”自分の話がつまらなかったかな”と不安に駆られることがあります。
Q3.海外留学プログラムの一部がオンラインになりましたが、学びの質は変わらないと思いますか?
A.授業の内容はほぼ同じだと思います。アクテビティの種類は多少変化がありますが、クオリティは変わらないように感じました。ただ、エクスカージョン(小旅行)については、実際に現地へ行くことができないので、行ったことの無い場所に行くことが目的の学生さんにとっては、残念かなという印象です。
英語の点数を上げることが目的の方は、オンラインになった分、費用が安価になっているので、積極的に参加したら良いと思います。オンラインでは、外国の観光名所に行けない代わりに、個人のお宅の様子が見えたりするので、そこはおもしろいなと思います。
Q4.言語学とSDGsにはどのような結びつきがありますか?
A.SDGs17の目標のうち、4番目の「質の高い教育をみんなに」という項目に結びつくと考えています。言語学の授業との結びつきもありますが、私はたとえば、日本の聾(ろう・聴覚に障害を持つ方)の学生への支援が不足していることが問題だと思っています。アメリカには聾の人が通う大学があり、手話で授業が行われるなど制度が整っています。しかし、日本にはそのような大学はなく、聴覚障害や言語に関する障害を持っている学生に対する合理的配慮の提供が遅れているので、その部分をこれから充実させていくべきだと考えます。
【授業紹介】
学生記者選りすぐりの2回を紹介します。
1人目に紹介するゲスト講師の方は、4月28日に出演されたベンガル語話者のシェリン・ホサインさんです。バングラデシュ・ダッカ出身のシェリンさんは、2020年1月に国分寺に来日したばかりで現在日本語を勉強中です。
「バングラデシュでは42の言語が話されている」「ベンガル語の語順は日本語と同じSOVの語順」など、初めて知る内容が目白押しでした。
2人目に紹介するゲスト講師の方は、5月12日に出演されたバーサンフー・バダラハゲラレルさんです。モンゴル・ウランバートル出身のバダラハゲラレルさんは、モンゴル語はもちろん、日本語や英語など多言語を話すことができ、現在は日本の専門学校でITを勉強中です。休日には、3ヶ国語でのゲーム配信もしています。
モンゴルには苗字がなく、パスポートや日本での書類を記入するために、バダラハゲラレルさんは、お父様の名前の「バーサンフー」を苗字として使っているそうです。初めて知る海外の文化に驚きました。
取材:学生記者 コミュニケーション学部1年 西岡光
学生記者 経営学部3年 内田充俊