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経済学部 重田准教授の研究『Finance and Stochastics』に掲載受理 ~無限期間での消費・投資計算の数理的正当性を確立

東京経済大学経済学部で数理ファイナンスなどを研究する重田雄樹准教授の研究論文が、SPRINGER NATURE社発行の『Finance and Stochastics』に掲載が受理されました。
『Finance and Stochastics』は、数理ファイナンスと確率論の分野における最先端の研究を発表する国際的に定評のある学術誌です。
重田准教授は今回の研究で、マクロ経済学およびファイナンス分野における「再帰的効用関数」を用いた消費・投資計画の計算方法について、その数理的正当性を証明しました。この研究成果により、将来にわたる消費と投資の最適な配分を考えるうえで、理論的な基盤がより強固なものとなると考えられています。

  • 慣習的手法に「お墨付き」
    「今あるお金をどれくらい使うか」「将来のためにどれくらい貯蓄するか」という私たちが日常生活で行う選択は、国の経済全体の動き(GDPや株価など)にも大きく影響しています。経済学やファイナンスの研究では、このような「異なる時点間での消費の配分」と「リスクに対する備え」を数学的に分析するために「再帰的効用関数」という複雑な計算フレームが用いられています。 私たちの生涯のように「無限に続く期間」での最適な消費・投資計画を計算する際は、従来、短い期間での計算を期間の長さを伸ばしながら繰り返し行い、その結果が安定するまで続けるという方法を慣習的に採用してきました。 今回、重田准教授が行った研究では、この慣習的なアプローチが、実際のデータとよく適合する設定の下で、数学的に正しく、無限期間での「再帰的効用関数」の計算において妥当であることを厳密に証明しました。
  • より現実的な経済モデルの構築へ
    今回の研究成果は、経済学や金融分野における今後の応用研究での数理的な基礎付けとして、非常に重要な役割を果たすことが期待されています。一方で、人間の行動経済学的な要素や、より多様な市場環境を考慮に入れた「さらに一般的な設定での消費者の最適消費投資選択問題の可解性や数理的正当性の探求」が、今後の研究課題として挙げられており、本研究は、複雑な経済現象を理解し、より現実世界に即した経済モデルを構築するための、新たな一歩となると考えられています。
  • 論文情報
    雑誌名:Finance and Stochastics
    論文名:An economic interpretation and mathematical analysis of Epstein–Zin stochastic differential utility in infinite horizon when θ<0
    執筆者名(所属機関名):Yuki Shgieta (Tokyo Keizai University)
    参考 URL:https://link.springer.com/journal/780/updates/19991928
    プレプリントURL:https://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=4701952

教員紹介:重田 雄樹