
成年年齢の引き下げやSNSの普及などにより、より幅広い年代の人が社会に向けて自ら発信・行動できるようになるなど「消費者」の姿や行動は変わってきている中、東京都は学生参加型の「大学生とともにこれからの消費社会を考えるプロジェクト」を実施しました。
このプロジェクトの一環として、消費者に向けた提言を競うコンテストが行われ、東京経済大学現代法学部の岩木葵さん(3年)と関戸彩月さん(3年)の提言が「最優秀賞」に選ばれました。
このプロジェクトは2025年2月から3月にかけて、計3回の「提言ミーティング」を実施することから始まり、学生たちは4つのチームに分かれ、現代の消費者が直面する課題や心構えについて議論を重ね「消費者に向けた提言」をまとめました。その後、これらの提言を広く伝えるために、東京学生広告研究団体連盟に所属する学生たちが、各チームの提言を絵にして「消費者向け提言ポスター」が制作されました。
6月に開催された「発信ミーティング」には、提言を作成した学生とポスター制作者が一堂に会し、完成したポスターの発表と投票が行われ、東京経済大学チームの「最終確認とスクリーンショットはセットで!」が最も優れた提言として選出されました。
ネットショッピングや契約手続きにおいて、トラブル防止のために画面保存(スクリーンショット)を習慣化することを促すという、デジタルネイティブ世代ならではの実践的なメッセージが高く評価されたということです。
岩木さん、関戸さんは、それぞれ以下のように受賞の喜びを話しています。
岩木さん:プログラムに参加するにあたり、『消費者問題』として一番に浮かんだのが、インターネットでの化粧品広告の詐欺でした。日常生活で頻繁に見かける広告。ここから始まる消費者問題に対し、現代法学部生だからこそできる提言とは何か、一般の人に伝わっていない落とし穴は何かを考え、『クーリング・オフができるし、大丈夫だろう』という考え方の危険性に焦点を当て、証拠を残すことを促す提言を考えました。そのうえで苦労したのが、法律の知識のない人への重要性の伝え方です。法を学ぶ学生として、日々学ぶ中で私たちが当たり前のように使っている言葉や認識は、法律を知らない人から見るとわからない可能性が高い。言葉選びと根拠づけには特に気をつけました。また、多くの世代が遭いやすい詐欺被害であり、若年層へも当てはまる内容であることから、証拠の残し方も全世代が気軽にできる方法である必要がありました。そこで、スクリーンショットという普段から行っているものを提言の軸に据え、その重要性を、判例を用いて根拠づけたことで、詐欺被害に遭った後の自分を守るための重要な行動なのだと理解していただくことができました。それが広告連盟の方にも伝わったことで、このようなインパクトと説得力のある、素敵なポスターを作っていただくことができたと思っています。今回のプログラムで、より社会に顕在する問題と法律との関わり、法律の知識を用いて考えることの重要性を実感することができました
関戸さん:こういったプロジェクトに参加したことは初めてで緊張していましたが、たくさんの方々に助けていただきながら試行錯誤した結果、こうして評価していただけることになりとてもうれしく思います。法を学んでいる学生は私たちのチームだけでしたので、他の大学や学部の方と議論を重ねていく上で不安もありましたが、自分たちの個性や知識を最大限活かすことができ、とても有意義な時間となりました。
都はこの最優秀作品を含む4チームのポスターを1枚にまとめた「消費者啓発用ポスター」を作成し、都内の大学や短大、専門学校や高校などで掲示するということです。また、12月15日(月)から26日(金)の間、都庁第一本庁舎2階 エントランスロビーをはじめ、新宿西口広場や新宿駅から都庁までの間の地下道、それに西新宿エリアに都が設置しているサイネージ型スマートポールでもこの作品を見ることができるということです。
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