
東京経済大学の岡本英男学長による最終講義が、2026年1月21日(水)、進一層館ホールで開催されました。この講義は、岡本学長が自ら創設し、長年運営に携わった「世界システム研究会」の2025年度第4回研究会を兼ねて行われたものです。岡本学長は、1997年に東京経済大学経済学部教授として着任後、経済学部長(2014年4月~2016年3月)を経て、2018年4月から学長を務めています。
「私の研究生活を振り返る-福祉国家論との出会いを中心として-」と題した講義の中で、岡本学長は自身の研究生活を前期・中期・後期の3つの時期に分けて述懐しました。
はじめに、研究者として独り立ちする契機となったアメリカの連邦補助金制度や福祉国家化の研究について触れ、1992年からのコーネル大学(アメリカ)への留学が、その後のアメリカ財政や福祉国家論の研究に大きな影響を与えたと語りました 。また本学着任後は、自身の博士論文ともなった『福祉国家の可能性』(2007年)の公刊や、研究上で最も影響を受けた恩師・加藤榮一東京大学名誉教授の遺稿集の制作に尽力したエピソードを披露しました。さらに2008年以降は、ロンドン大学での国外研究中に直面したユーロ危機や緊縮財政をきっかけに、現代の財政政策やMMT(現代貨幣理論)の理論的意義にまで研究対象を広げてきた歩みを振り返りました。
講義の締めくくりとして、岡本学長は「これまでの研究は、決して自分一人で成し得たものではない」と強調し、各時代の恩師や仲間との出会いがあったからこそ、導かれるようにして自身の理論を深めることができたと、周囲への深い感謝を述べていました。現在は四半世紀前の学術的論争を現代の視点から再評価する研究を計画していると語るなど、長きにわたる学問への探究心と感謝の言葉をもって、最終講義を締めくくりました。