東京経済大学は、いにしえの多摩川が形づくった「国分寺崖線」をキャンパス内に有する大学として、地域の人々の生活を育んできた「武蔵野の森」の保全、そして多様な動植物をたたえる自然との共生の重要性を認識し、持続可能な社会の構築に貢献していくことが重要な使命であると考えています。
国分寺キャンパスは、国分寺崖線を南北に挟む台地上に位置し、北側の武蔵野面上に校舎などの建物を配置している部分と、崖線斜面及び崖線下の立川面上にある「東経の森」に大きく分けられます。
崖線北側の部分は、学生・教職員が活動する主なエリアです。ここでは樹木は植栽されており、正門から続くソメイヨシノの桜並木、葵陵会館前のケヤキ、1号館と2号館の間のイチョウ並木などが人々の目を楽しませています。また、シラカシ、ヒマラヤスギ、アカマツ、ヒノキ、などの常緑樹・針葉樹が外周部を囲んでいます。「東経の森」には、かつての「武蔵野の森」の雑木林を構成する中心的樹種であるケヤキ、コナラ、クヌギ、ミズキなどの落葉広葉樹林が多く見られます。さらに、崖線の帯水層から湧出する地下水によって作られた「新次郎池」があり、その周囲は高木のスギ、シラカシ、ケヤキなどの針広混交林が囲んで涼しい日陰地帯となっており、水辺を好む植物の群落があります。
「東経の森」は、大学と地域を結ぶ場として、大学の開校時(日曜祝日除く)には市民の方々も立ち入って自然観察をしていただくことができます。
キャンパスの豊かな緑を守るため、様々な活動を継続して行っています。
国分寺キャンパス内には、約800本の樹木が生育しています。多くの人が集うキャンパスで、美しい緑の環境を、落枝等の事故や周辺に迷惑を及ぼすことなく維持するためには、定期的な剪定により樹木の健全性を確保しながら樹形を整えておく必要があります。樹木剪定についての中期計画を作成しこれに基づき毎年の剪定を実施し、キャンパスの緑の環境を維持しています。
2020年に始まったカシノナガキクイムシ被害は、2022年に虫の大量飛来があり、4本のコナラ(枯損危険木)を伐採しました。2023年度は、防虫ネットを巻く等の被害拡大防止策を講じたものの1本のコナラが倒木に至り、6本の枯損危険木を伐採しました。樹林全体の高木化・老木化が進んでおり、今後は、森の再生に向け、若木を育てる活動が必要だと考えています。
「森と水プロジェクト」(2012年~)では、かつての「武蔵野の森」の風景を意識して適切に二次林を管理することを前提に、樹勢のない樹木の間伐と萌芽更新、外来種の駆除、クマザサなどの繁茂から林床を守るための管理作業などの活動を進めてきました。定期的な森の管理作業には、学生や教職員のほか、地域住民の方々も多数参加されています。コロナ禍の期間は活動を休止していましたが、2024年度より活動再開を予定しています。