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Q:『源氏物語』を執筆した
紫式部の思いに近づける場所。
どんな所だと思いますか?

全学共通教育センター 上野麻美教授

東経大教員QUIZ

 
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A:逢坂の関を越え、 琵琶湖を見下ろすスポット。 解放感を感じる場所です。

紫式部が『源氏物語』の執筆を始めたとされるのが、滋賀県大津市の「石山寺」です。以前、平安京周辺からこの石山寺までのルートをゼミの学生たちと実際に歩いてみたことがあります。三方を山に囲まれた京都盆地を出て、逢坂の関を越えると、サッと視界が開けて、眼下に広がったのは美しい琵琶湖。

その得も言われぬ解放感が、都の閉鎖的な環境から抜け出した、彼女の心情と響き合うようで……。紫式部がこの作品を書こうと思い立った理由が、なんとなく少しだけ分かるような気がしました。

『源氏物語』を研究する私のゼミのモットーは「体験する古典文学」。毎年、夏休みには京都で合宿をし、実地踏査を行っています(2020年度は中止)。「1000年も前の話なのに、いま現地に行って何か分かるの?」と思う人もいるかもしれませんね。でも、稜線や地形、寺の佇まいなど、作品を味わうよすがとなるものは何かしら残っているもの。その場に身を置くことで発見できることが、実はたくさんあるのです。古人の喜怒哀楽に思いを馳せ、作品の世界を旅する。そんな古典の楽しみ方を、皆さんも体験してみませんか。