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Q:日本は、ひとり親家庭の
「ある割合」が高いという
深刻な課題を抱えています。
一体何でしょうか?

経済学部 李蓮花准教授

東経大教員QUIZ

 
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A:日本は、ひとり親世帯の「相対的貧困率」が先進国のなかで突出して高く、早急な対策が必要です。

日本は、ひとり親世帯の「相対的貧困率」が先進国のなかで突出して高く、早急な対策が必要です。

日本の社会保障制度のなかで、海外と比較して特に遅れているのが、貧困対策です。社会の一般的な水準に比べて著しく貧しい状態を「相対的貧困」といいますが、日本はひとり親世帯の「相対的貧困率」がなんとOECD加盟国の中でとびぬけて 高いのです(2018 年時点)。OECD平均32.5% に対して、日本は48.1 %ですから、その深刻度が分かるでしょう。ひとり親家庭に対してはいま、子育て・生活支援、就業支援、養育費確保支援などの早急な対策が求められています。

一方で、日本の医療保障の公平性は世界トップクラスといえます。また、高齢者福祉においては、介護保険がカバーする多様なサービスや地域包括ケアシステムなど、高齢先進国として他国の模範になりそうな仕組みも整っています。

少子高齢化が進む日本で社会保障制度を持続させるカギは、「働き方の柔軟性」にあると思っています。人生には、出産、介護、入院といった色々な出来事がありますが、そんなとき「週3日出勤する」「一日4時間だけ働く」といった柔軟な働き方が可能なら、労働者=社会の支え手を確保できます。ひとり親はもちろん、高齢者や障がい者、外国人など多様な人材が柔軟に働き、そして労働に見合う賃金を受け取る。そんな社会の構築に向けて、労働者や企業の意識・行動も変わっていくべきなのです。

社会保障について考えることは、自分や家族の人生、そして今後の社会のあり方を考えることでもあります。若い世代の皆さんには、世の中の事象にもっと関心を持ち、その背景を考える習慣をつけてほしいと思います。