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Q: アイドルも、iPhoneも
映画の口コミも、研究対象に。
どんな学問でしょう?

コミュニケーション学部
山下玲子教授

東経大教員QUIZ

 
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A:メディアやそこで発信される情報に
まつわる様々な現象を、
「社会心理学」の視点で研究しています。

日本の若者のiPhone使用率がAndroidより圧倒的に高いのはなぜか。人は暴力的な映像を見ると攻撃的になるのか。地下アイドルを応援するファン心理とは──。私のゼミでは、メディアやメディアコンテンツに関するこうした疑問や現象に社会心理学の観点から切り込み、アンケート調査や心理学実験などを用いて研究しています。

例えば、あるゼミ生が興味を持ったのは「映画の評価は、他人の口コミに影響されるのか」。そこで、実験群を3つに分け、「評価の高い口コミ」「評価の低い口コミ」「その半々の口コミ」をそれぞれ読んでもらった上で、同じ映画を見て評価してもらうという実験を行いました。すると、事前に読んだ口コミ評価の高低にかかわらず、作品への興味が中程度の層が最も他人の口コミに影響されるという結果に。逆に、作品に高い関心のある層と全く興味のない層は、口コミには影響されにくいという結果が得られました。

ほかにも、90年代と最近の女の子向けアニメを比較して「性別ステレオタイプの描き方の変遷」を分析した学生もいます。キャラクターの年齢や服装、恋愛的なやりとりや攻撃的な行動の回数などを比較するのです。私自身もアニメの描写には注目していますが、ここ20年ほどで性別ステレオタイプの揺り戻しとでもいうのか、近年は「女の子は料理や子育てを」「結婚が女の子の幸せ」といった価値観を植えつけるようなストーリーや描写が目立ちます。幼少期にこうした描写に触れることがどんな影響を及ぼすのか、やや不安視しています。

また今年度のゼミ生の中には、日本のモバイルOS市場の特異性に注目し、世界の潮流に反して「AndroidよりiPhoneのシェアが高いのはなぜか」を研究した学生もいます。結果、特に若い世代は機能性よりブランド力やおしゃれさを重視していること、若者特有の同調行動の表れでもあるのではないかという考察に至りました。

これまでにあげたテーマ例からも分かる通り、メディア論や社会心理学という分野は、皆さんの好きな物事が社会を考察する「切り口」となって、研究へと昇華しうる分野です。最近の若い人たちは、将来の方向性を早く決めるように周囲から言われるでしょうが、17〜18歳で人生は決まりませんから、心配しなくて大丈夫。大学に入ってからやりたいことを探したいという人も、コミュニケーション学部では大歓迎ですよ。