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東日本大震災に関して

東日本大震災を経験された皆さんへ

 直接被災をされた方はもちろんのこと、また直接ではなくとも地震当日の揺れや余震、メディアの報道、今なお収束していない原発問題などから、心身に変化が生じた方もいらっしゃると思います。回復のためには、心身の状態を理解することが助けになります。

 また今後、被災者へのボランティア活動を希望される方もいらっしゃるでしょう。その際、被害を受けた方の状況や状態を理解し、適切な関わりを持つことが何よりも大切なこととなります。

大きな災害時に見られる心身の反応

 人は、「突然、予期せぬ形で起きたことの脅威に圧倒され、その事態をコントロールすることができない」時、心的外傷(トラウマ)を負いやすくなります。トラウマは過度の警戒心などの過覚醒、そのことを思い出して苦しくなるフラッシュバックなどの再体験、そのことと関連する刺激を避ける回避、感覚のマヒといった反応を引き起こします。これは異常な事態における正常な初期反応です。これらの反応の中には強い苦痛を引き起こすものもあり、その人の適応を妨げる原因となることがあります。このような状態にある時、安心・安全を感じられる時間や場所、人とのつながりの感じられる関わり、周囲の人々による共感や気づかいのあるサポートが、回復の大きな助けとなります。

 また、トラウマを経験すると、PTSDや心身症、うつ病、アルコール依存など深刻な精神疾患が引き起こされることもあり、その場合には専門家による適切な治療が必要となります。社会生活や日常生活に差しさわりが出ている時は、速やかにカウンセラーにご相談ください。

災害による心理状態の変化

 災害による心理状態は刻一刻と変化しており、それには、以下のような段階が一般的には見られると言われています。阪神・淡路大震災の心のケアを必要とする子どもたちの数は、経年的にみれば3年後がピークでした。苦しみは長期に渡る可能性もあることを念頭におきながら、無理をし過ぎず回復をはかっていきましょう。

段階 時期 様子
茫然自失期 数時間~数日間 恐怖体験のため無感覚、感情の欠如、呆然自失の状態となる
ハネムーン期 数日後~数週間または数ヶ月 被害の回復に積極的に立ち向かい愛他的行動がみられる
幻滅期 数週間後~年余 メディアが報道しなくなり被災地以外の人たちの関心が薄れてくる頃に無力感・倦怠感にさいなまれる
再建期 数ヶ月~年余 復旧が進み、生活のめどがたち始める。フラッシュバックは起こり得るが徐々に回復していく。しかし、復興から取り残されたり精神的支えを失った人は、ストレスの多い生活が続く

参考資料:応用心理学辞典(日本応用心理学会編、丸善出版株式会社)
サイコロジカル・ファーストエイド 実施の手引 第2版 日本語版(兵庫こころのケアセンター)

生活を立て直して行くときに必要な支援

 茫然自失期が過ぎ、生活を立て直して行く気持ちが出てきたとき、情緒的なサポートと合わせて物質的・経済的なサポートが更に重要となることも考えられます。学生相談室では、どのようなサポートが得られるか一緒に考えていくこともできますので、お困りの時はカウンセラーにご相談ください。

 また、災害からの回復においては、状況によって特別な配慮が必要となる場合があります。もともと身体的・精神的な障害のある方や、慢性疾患のある方などは急な生活の変化により症状が悪化することもあります。また、留学生の方などは情報の不足や不確かさ、ソーシャルサポートの足りなさから不安が大きくなることもあります。このような時は、一人で苦しまずカウンセラーにご相談ください。

ボランティア活動に参加を希望される方へ

 被害を受けた方の状況や状態は、被害の大きさ、個人の特性、その人の経済的・社会的環境、ソーシャルネットワーク等によって異なってきます。ボランティアとして被災者の方を支援する時は、相手の方の経験していることを先入観で決め付けることなく、そっと寄り添いつつニーズを汲み取っていくことが求められます。

 自分の体調を整えることはもちろんのこと、事前に支援者として必要な知識を身につけてから活動に参加しましょう。そして活動後は、ボランティアに参加した人自身もゆっくりと休養をとり、日常生活に戻るようにしましょう。

参考となる災害関連情報サイト

 災害時の心身の状態の理解を深め、ボランティア活動時の心構えを知るために、以下のサイトが参考になります。
('支援者'、'ボランティア'とタイトルにありますが、自分自身の理解にもつながります。)