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研究奨励基金寄付金

専任教員の学術研究を助成し、奨励することを目的としています。
教員の研究は、個人研究費や共同研究、国内外での研究、学会関係や論文作成等さまざま種類があり、幅広く助成を行います。この助成の手厚さにより安定して教育研究に邁進できる環境を整え、大学の教員の研究者としてのレベルの高さを支える一助となっております。

サンゴの研究と保全をライフワークに

研究分野 I 海洋生物資源保全学/発生・組織学
大久保奈弥教授

私は海洋生態系の保全と、サンゴの発生の多様性を研究しています。海洋生態系の保全では、例えば鎌倉市の材木座海岸など相模湾沿岸での生物調査を行い、そこで生きる生物の素晴らしさや大切さを知ってもらうためのパンフレットを制作して環境保全活動に取り組んでいます。学生時代には、もともと海の生物、なかでも熱帯魚が好きだったことから、その棲家であるサンゴを移植で増やす研究をしていました。また、その傍らでさまざまなサンゴが発生する過程を調べていたら、サンゴの子どもに穴の空くグループと空かないグループがあることを発見し、2017年に2つの新しい亜目を提唱しました。近年は、多細胞動物が誕生し始めたエディアカラ紀(約6億3500万年前~約5億4100万年前)の地層から見つかった世界最古の胚と同じような発生をするサンゴを見つけたので、両者の関係を調べる研究をしています。一方、サンゴは2100年までには絶滅する可能性もあるとも言われるほど厳しい状況にあります。人間による開発や、地球温暖化による海水温の上昇が原因です。数年前には、私の研究グループでマイクロプラスチックがサンゴの共生を阻害することも発見し、メディアでも大きく取り上げられました。サンゴの減少はその生態系に棲む他の生き物にも悪影響を与えており、沖縄では漁獲量が減った原因のひとつだと考えられています。サンゴを増やすために、植え付けや移植も行われましたが、成功していません。従って、私たちは今あるサンゴ礁生態系を守らねばならないのです。私は今後、各方面の方々と協力し合いながら、サンゴを守るための法律や条例を作る活動をしていきたいです。理学的研究もしっかりやりながら、保全などの社会活動も両立させたいと思います。