経営学部
小島 喜一郎 教授ゼミ
#主体性 #意見交換 #自由 # 言語化
大学という主体的に学ぶ場の象徴的科目である演習(ゼミ)の性質上、参加者が、自らの自由な問題意識に基づいて、その問題の解明に向けた調査・分析を行うことが活動の起点となります。したがって、仮に、自ら問題意識を持たず、他者から教えてもらうことを目的とするのであれば、演習(ゼミ)から得られるものがあるかについて疑問が生じるところです。このことは本演習(ゼミ)にも当てはまるため、参加者は自らの問題意識を明確にするという活動から始めることになります。
ここ数年間の参加者を見ると、本演習(ゼミ)の担当教員がいわゆる「知的財産法」を研究対象としているためか、報道等を通じて知り得た知的財産法に関する紛争(訴訟)に対する疑問に根ざした問題意識を持つ傾向にあるようです。この場合、法制度に関連する問題を取り扱うことから、その前提となる法令や判例をはじめとする文書(文字情報)を調査・分析することが活動の中心となります。また、法令や判例に初めて触れる参加者も少なくないため、それ等の趣旨の解明など、自らの問題意識を明確にするうえで、事前に解明することが必要となる問題を認識し、その問題を解明するという活動を積み重ねるという、大学ならではの学習を経験する機会にもなっているようです。
このような調査・分析を一通り終えると、次に、演習(ゼミ)の特徴と言える、特定の場所・時間に参加者全員が集ったうえで、自らの調査・分析の結果を他の参加者に報告するとともに、他の参加者による報告に対して自身の知見にもとづく疑問を投げかけるという、意見交換を行う活動となります。その性質上、他の参加者へ情報を伝え、認識を共有することが活動の前提となるため、多義的な表現を避けるべきとの観点から、言語化(言語による記述)が重要となります。とりわけ、前述のように、本演習(ゼミ)では法的問題を取り扱うことが多く、文書(文字情報)に記された言語から読み取れる事実は何かを検討することが調査・分析の中心となることに着目すると、自らが発信する情報を言語化することの重要性は一層強く認識されるところです。
そして、参加者間での意見交換の目的が、自らの調査・分析に内在する問題を認識し、その問題の解明に向けてあらためて調査・分析を行うところにある点に着目すると、自身を否定し、省みることのできる謙虚さと、互いが協力して互いの問題を解明しようとすることに対する誠実さとを問われる場として演習(ゼミ)を位置付けられると思います。
知的財産法/情報倫理
情報倫理/情報リテラシー/コンピュータ・リテラシー